八重山郷里の挑戦 Vol.1~信頼の素牛づくり”でサプライチェーン構築~

いま、沖縄県八重山諸島の和牛繁殖・素牛供給が全国の肥育業者から注目を集めつつある。

石垣島繁殖

■ 注目集める八重山の和牛繁殖

セリ2013年4月、東京食肉市場で開催された「第18回中核和牛生産者枝肉研究会」では、昨今の和牛の美味しさへのニーズの多様化を受けて、審査基準にサシよりも脂質やおいしそうな肉色を盛り込んだことで関係者の耳目を集めたが、この研究会で枝肉単価4505円という高値で落札された雌の最優秀賞牛(出品:田村畜産)は八重山からの導入素牛(父菊谷照、2代祖第2平茂勝、3代祖北国7の8)であった。

さらに、7月の八重山家畜市場のセリには松阪牛の肥育業者が購買に入るなど、肉質へのこだわりの強い肥育農家らが八重山産の子牛に関心を寄せている。

全国有数の和牛素牛供給基地である沖縄県の中でも、とりわけ八重山は和牛繁殖に適した自然条件が揃っている。年間を通じて青々とした草が生い茂り、年に5~6回は牧草を刈り取ることが可能だ。

何より粗飼料を十二分に与えられた子牛は肥育への移行がスムーズといわれ、粗繊維の多い草を食べて育った八重山産の素牛は肥育農家にとっても大きなメリットがある。

■ 高まる増頭意欲、母牛更新進む

さらに、地域をあげて育種改良の取り組みが強化されていることも見逃せない。石垣市では母牛の更新を推進するため、枝肉重量と脂肪交雑の育種価が一定以上の基準をクリアした素牛の導入について、1頭あたり購入費の3分の1(上限20万円)を助成する優良母牛更新事業を昨年9月から実施。昨年度は約80頭分が適用されたが、同事業は10年間継続される見通しである。

また、沖縄県が奨励する優良遺伝繁殖素牛保留事業でも、24年度の事業申請頭数は八重山地区がもっとも多かった(別表参照)。これについてJAおきなわ八重山地区本部の安里成秀前副本部長は「八重山の繁殖は若手後継が多いことも特徴の1つ。高齢母牛の入れ替えが着実に進んでおり、1~2年後には確実に変化してくるだろう」と分析する。 離島のため運賃コストが課題の一つだが、1頭あたり1万2千円の補助がでている。

石垣市の中山義隆市長は「良質な牧草で育った八重山の素牛は遠方への出荷にも耐えられる強健性がある。新空港開設により全国各地と直行便で結ばれ、以前よりも購買者を誘致できる環境になった。八重山の繁殖基盤の充実とともに、八重山の素牛の強みを全国にアピールする好機」と捉えている。

『八重山だより』では、行政を含め地域一丸となって全国に優良な素牛を供給する八重山地区の取り組みをレポートしていきます。

 

Meat UP!(片平梨絵)
*この原稿は肉牛ジャーナルに連載されたものです。

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