八重山郷里の挑戦Vol.7 子牛価格は過去最高、肉牛生産の構造変化の予兆も

 

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枝肉安・素牛高”。ここ数年、国内の肉牛産業の課題を端的に表す言葉だ。繁殖部門はもともと担い手不足から基盤の脆弱さが懸念されていたが、口蹄疫や大手牧場の破綻などにより素牛供給の絶対量が低下し、価格が高騰している。

2013年の黒毛和種の子牛取引結果をみると、八重山家畜市場は取引頭数が雌3445頭(前年同期比3.3%減)、去勢4667(1.5%減)といずれも減少し、平均価格は雌41万6496円(22.3%高)、去勢48万1440円(17.2%高)と上昇。黒島家畜市場は雌が338頭(3.0%増)、39万9674円(29.7%高)、去勢432頭(0.2%減)、47万5773円(20.3%高)。両市場の取引価格は17.2%〜29.7%高と急伸したものの、それでも各月とも全国平均より低い水準で推移している(別表)。

一方、25年の枝肉の年間加重平均(東京食肉市場)は黒毛和種A5雌2369円(93円高)、同去勢2144円(171円高)。前年実績を上回ったが、生食問題や東日本大震災発生以前の価格には戻っていない。10年前と対比すると300〜400円安く、「素牛コストの上昇を何で補うのか」―肥育農家の先行き不安は強まっている。繁殖農家もいまの高値を喜んでいるだけではいられない。

大事なのは目先の収入か、持続的な安定経営なのか。素牛の高騰と供給不足は流通販売段階にも影響を及ぼし始め、肉牛生産の構造変化の予兆を感じさせる動きが出始めている。

■ 繁殖農家囲い込みへの動き加速か

素牛価格の高騰が肥育農家の経営を圧迫する中、一部の肥育農家が繁殖事業へ参入する動きが拡がっている。さらなる変化は、肉牛出荷減が深刻化していることを背景に、『素牛の安定調達の仕組みづくり』は肥育農家にとどまらず、和牛卸や量販店等の流通販売企業においても大きな課題の1つと捉えられるようになってきたことだ。

「販売する牛肉を確保するために3年後、5年後を見据えた戦略が必要になる」(流通関係者)として繁殖農家の囲い込みに向けた動きが進みつつあるからだ。

信頼のサプライチェーンの構築とその一翼を担うことをスローガンにかがける八重山郷里素グループでは、こうした市場環境の変化に対処するため、エンドユーザーとの交流や先進的な肥育企業への視察研修を積極的に企画。2014年4月には東京・大阪・名古屋のホテル関係者との情報交換会や島根・松永牧場の視察研修を実施した。

Meat UP!片平梨絵
この原稿は肉牛ジャーナル2013年10より連載されていたものです。

 

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